脊髄小脳変性症の転倒予防|自宅でできる安全対策と環境整備

脊髄小脳変性症(SCD)と向き合う中で、最も警戒しなければならないのが「転倒」です。 「少しお酒を飲んで気が大きくなり、足元がふらついて顔や骨を打ってしまった……」 このような不慮の転倒は、単なるケガでは済みません。骨折などで入院し、ベッドの上で過ごす時間が増えると「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」が起こり、病気の進行を一気に早めてしまう恐れがあるからです。
今回は、自宅を「安全な基地」に変えるための具体的な工夫と、万が一、機能が落ちてしまった時の解決策について詳しくお伝えします。
1. 転倒が引き起こす「負の連鎖」を断ち切る
SCDの患者さんは、体のバランスを立て直す反射が弱まっているため、転倒する際のスピードが急激になりがちです。とっさに手をつくことができず、顔面や頭部のケガ、大腿骨の骨折といった重症化のリスクが高いのが特徴です。
特に注意したいのが「アルコール」です。お酒は小脳の機能を一時的に低下させるため、もともと機能が落ちているSCD患者さんが飲むと、さらにバランス感覚が失われます。「一口くらいなら」という油断が大ケガに直結し、その後の寝たきり生活を招いてしまうケースは少なくありません。
2. 自宅を安全にするための具体的な工夫
SCD特有の「両足を広げて歩く」スタイルに合わせた環境整備が、転倒予防の鍵となります。
あえて「狭い空間」を作る
意外かもしれませんが、広いスペースよりも「常にどこかにつかまれる狭い空間」の方が安定します。移動経路に沿ってソファーの背もたれを配置するなど、「もたれかかれる、つかまれる動線」を作ることが有効です。
手すりの設置は「高め」がポイント
一般的な手すりの高さよりも、少し高めに設置する方が、重心が高いSCDの患者さんには安定感をもたらします。立ち上がり動作が多いトイレや玄関には「縦手すり」、移動する廊下には「横手すり」を配置しましょう。
照明で「目」の代償を助ける
足裏の感覚が鈍くなっている分、SCDの患者さんは「視覚」でバランスを補っています。夜間のトイレなど、暗い場所ではふらつきやすいため、センサー式の照明などで足元を常に明るく保つことが必須です。
3. 歩行補助具(杖・歩行器)の正しい選び方
一般的な高齢者用の道具では、SCDの「ブレ」を抑えきれないことがあります。
- 杖:1本杖よりも、支持面が広い「4点杖」や、手首を固定できる「ロフストランドクラッチ」が腕の動揺を抑えてくれます。
- 歩行器:車輪付きのタイプは、わざと重りをつけて「車体を重く」すると、物理的な安定感が増し、突発的なふらつきを防ぎやすくなります。
4. 40歳から使える介護保険の住宅改修
SCDは国の指定難病であると同時に、介護保険の「特定疾病」です。通常は65歳からですが、40歳から介護保険のサービスを利用できます。 手すりの設置や段差の解消など、住宅改修費の支給制度を早期に活用し、住み慣れた家を安全な環境に整えましょう。
まとめ:もし転倒して機能が落ちてしまっても、諦めないでください
万が一、転倒やケガによる安静で歩行機能が落ちてしまっても、希望を捨てる必要はありません。小脳には「運動学習(脳の可塑性)」という、新しくつながり直す能力が残されているからです。
当院では、鍼治療によって筋肉の過緊張を強力に緩め、脳への血流を改善した「直後の30分」に集中的なリハビリを行います。この相乗効果によって、数年分の機能低下を劇的に改善し、進行を「逆戻り」させた実績が多数あります。
「転倒が怖くて歩くのをためらっている」「ケガをしてから歩きにくくなった」という方は、ぜひ一度、当院にご相談ください。
脊髄小脳変性症の鍼灸外来
一般的な鍼灸院では行わない「体の状態を客観的に捉える方法」です。
足部の温度変化を確認する検査の一例
「診断はついた。けれど、今の自分の状態がどうなのかは、よくわからない」
「薬を続ける以外に、何を意識すればいいのか、誰も教えてくれなかった」
私たちは、こうした行き場のない不安を抱える患者さんと40年間向き合ってきました。
当院では、サーモグラフィで全身の体温分布を可視化します。
脊髄小脳変性症の方では、
ご本人が感じている歩きにくさやふらつきと一致する形で、
手足の温度分布に左右差が見られることがあります。
その一致を一緒に確認することで、
「なぜ今の動きにくさが出ているのか」を整理する手がかりになります。
この検査には専門機器と解析技術が必要なため、一般的な鍼灸院で行われることはまずありません。 感覚や印象だけに頼らず、今の体の状態を落ち着いて見つめたい方のための情報提供の場として、 ご相談をお受けしています。
参考文献
- 『脊髄小脳変性症のリハビリテーション』 (Monthly Book Medical Rehabilitation) 全日本病院出版会
- 『神経疾患患者の転倒予防マニュアル』 日本転倒予防学会 監修/ 新興医学出版社
- 『脊髄小脳変性症のリハビリテーション ―新しい治療戦略から緩和ケアまで』 医歯薬出版
- 『ねころんで読める歩行障害 脳神経内科医だけが知っている、「歩く」にかかわる病気あれこれ』 メディカ出版
- 『神経内科2013 神経内科診療における鍼灸治療』 科学評論社
- 『脊髄小脳変性症マニュアル 決定版!』 日本プランニングセンター
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当院について
森上鍼灸整骨院
院長 吉池 弘明
森上鍼灸治療では、西洋医学の代替医療として鍼灸治療に取り組んでいます。 顔面神経麻痺や突発性難聴の患者様には、臨床経験20年以上の鍼灸師がチームを組んで治療にあたります。
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