脊髄小脳変性症の装具と福祉用具|生活を支える道具の選び方

脊髄小脳変性症|生活を支える装具と福祉用具の選び方をアドバイスします。

「最近、歩くときにフラフラして家族に支えられないと不安……」

「杖を使ってみたけれど、かえって使いにくくて歩くのが怖い」

脊髄小脳変性症(SCD)の患者さんにとって、「歩けなくなること」は最も大きな不安の一つです。しかし、無理に自力で歩こうとしたり、自分に合わない杖を使い続けたりすることは、転倒のリスクを高めるだけでなく、実は脳のリハビリ効果も下げてしまいます。

今回は、SCDの歩行を劇的に安定させる「クラッチ杖」の秘密と、当院が推奨する機能回復のための装具活用術についてお伝えします。


1. なぜ「クラッチ杖(ロフストランドクラッチ)」が選ばれるのか?

多くの方が最初に手にするのは、一般的な「T字杖」かもしれません。しかし、SCDの患者さんには、腕のブレをしっかり抑えられる「ロフストランドクラッチ(クラッチ杖)」が非常に有効です。

腕の「揺れ」を物理的に抑え込む

SCD特有の症状に、腕が震えたり目標通りに動かせなかったりする「協調運動障害」があります。T字杖は手首だけで支えるため、この腕の揺れがそのまま杖先に伝わり、接地位置が不安定になります。 一方、クラッチ杖は前腕(手首から肘にかけて)をカフで固定できるため、腕全体で体重を支えることができ、ブレを最小限に抑え込んで歩行を安定させることが可能です。


2. 歩行器の工夫:あえて「重くする」という選択

杖では不安定になった時期には、歩行器への移行を検討します。ここでもSCDならではの選び方があります。

  • もたれかかれるタイプを選ぶ:持ち手を高くし、前腕全体で寄りかかれるタイプにすると、体幹が真っ直ぐに保ちやすくなります。
  • 重り(錘)をつけて安定させる:市販の歩行器は軽すぎると、ご自身のふらつきに振り回されてしまいます。あえて車輪付近に重りをつけて車体重量を増やすことで、突発的な動きに対するストッパーとなり、安全な歩行訓練が可能になります。

3. 足元を支える「靴型装具」と車椅子の役割

  • 靴型装具(足底板):バランスをとるために足を広げて歩く「開脚歩行」をサポートするために、踵(かかと)の接地面積を広げた特殊な靴型装具があります。これを用いると、物理的に重心が安定し、左右の動揺が明確に減少します。
  • 車椅子のシーティング:歩行が困難になった際の車椅子選びも重要です。SCDに多い「起立性低血圧(立ちくらみ)」が起きた際に、すぐに体を倒して休めるよう、角度調整ができる「リクライニング車椅子」などは、生活を守るための大切な安全基地となります。

4. 当院の強み:鍼灸×クラッチ杖による「機能の再構築」

当院では、ただ道具を勧めるだけでなく、その道具を使いこなして「機能を戻す」ためのアプローチを行っています。

インナーマッスルへの鍼刺激

ふらつきを抑えようとしてガチガチに固まったインナーマッスル(深層筋)に直接鍼で刺激を与え、筋肉の緊張を強力に緩めます。これにより、体が本来持っている柔軟な動きを取り戻します。

治療直後の歩行リハビリ

鍼治療で脳への血流が最大化し、体が動きやすくなったタイミングで、クラッチ杖を用いた正確な歩行訓練を行います。 この「最高の状態」で反復して歩くことで、小脳が正しく運動を学習し、SARA(国際的な運動失調評価尺度)のスコアが劇的に改善するケースも多いのです。


まとめ:道具は「諦め」ではなく「自立」のための武器

「杖を使うのは負けた気がする」と思われる必要はありません。正しい装具を使って「正しく歩き続ける」ことこそが、脳の神経回路をつなぎ直し(可塑性)、廃用症候群を防ぐ最大の防御策なのです。

当院では、あなたのお体の状態に合わせて、最適な杖の高さや歩き方を指導し、一緒に「自立した歩行」を守るための伴走をいたします。


脊髄小脳変性症の鍼灸外来

一般的な鍼灸院では行わない「体の状態を客観的に捉える方法」です。

脊髄小脳変性症の方の足部の温度分布を確認する様子

足部の温度変化を確認する検査の一例

「診断はついた。けれど、今の自分の状態がどうなのかは、よくわからない」

「薬を続ける以外に、何を意識すればいいのか、誰も教えてくれなかった」

私たちは、こうした行き場のない不安を抱える患者さんと40年間向き合ってきました。


当院では、サーモグラフィで全身の体温分布を可視化します。 脊髄小脳変性症の方では、 ご本人が感じている歩きにくさやふらつきと一致する形で、 手足の温度分布に左右差が見られることがあります。 その一致を一緒に確認することで、 「なぜ今の動きにくさが出ているのか」を整理する手がかりになります。

この検査には専門機器と解析技術が必要なため、一般的な鍼灸院で行われることはまずありません。 感覚や印象だけに頼らず、今の体の状態を落ち着いて見つめたい方のための情報提供の場として、 ご相談をお受けしています。

参考文献

  • 『脊髄小脳変性症のリハビリテーション』(Monthly Book Medical Rehabilitation) 全日本病院出版会
  • 『ねころんで読める歩行障害 脳神経内科医だけが知っている、「歩く」にかかわる病気あれこれ』 メディカ出版
  • 『図解 鍼灸療法技術ガイド I / II』 文光堂
  • 『脊髄小脳変性症マニュアル 決定版!』 日本プランニングセンター

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