脊髄小脳変性症と運転|いつまで可能?免許返納のタイミングと移動手段

「脊髄小脳変性症(SCD)と診断されたら、もう車の運転はできないのでしょうか?」
当院には、このような切実な悩みを抱えて来院される方が非常に多くいらっしゃいます。特に地方では、車がなければ買い物や通院など、日常生活が成り立ちません。「免許を返納したら、自分の足がもがれたようになってしまう」という不安は、痛いほどよくわかります。
結論から言えば、病気と診断されたからといって即座に運転が不可能になるわけではありません。今回は、医学的な視点から「安全に運転を続けるための条件」と「鍼治療で運転できる期間を延ばす方法」についてお伝えします。
1. 運転を継続できる「目安」とは?
法的には、免許更新時の適性検査をクリアできれば運転の継続は可能です。当院の長年の経験上、一つの目安となるのが国際的な運動失調の評価基準である**「SARA(サラ)スコア」**です。
このスコアが15点未満(何らかの支えがあれば歩行が可能で、四肢の協調性がある程度保たれている状態)であれば、実際に安全な運転を継続できている患者さんが多くいらっしゃいます。逆に、15点を超えてくると、咄嗟の判断や正確な操作に支障が出やすくなります。
2. 運転における最大のリスク「測定障害」
SCDの患者さんが運転する上で最も注意しなければならないのが「測定障害(そくていしょうがい)」です。
測定障害とは、手足を目標の位置に正確に持っていくことができず、行き過ぎたり(測定過大)、届かなかったり(測定過小)する症状です。運転においては、以下のような重大な事故に直結します。
- ブレーキとアクセルを踏み間違える
- ペダルを踏み込む力加減がわからず、急ブレーキや急発進をしてしまう
これらは小脳の制動機能が低下することで起こります。「自分は大丈夫」という主観ではなく、客観的な評価が不可欠です。
3. 当院独自の安全評価:サーモグラフィで「足先の感覚」を可視化
当院では、運転の安全性を総合的に判断するために、サーモグラフィを用いた客観的な検査を行っています。
SCDでは自律神経の乱れから足先の血流が低下し、皮膚温が著しく下がることがあります。足先が冷えて感覚が鈍っていると、足の裏から伝わるペダルの感触(固有感覚)が脳に正しく伝わりません。
当院のサーモグラフィ検査では、目に見えない足の温度分布を可視化します。足先までしっかり血流が行き渡り、正確な操作ができる状態にあるかを科学的に評価します。
4. 鍼治療で「運転できる期間」を延ばすために
当院には、「少しでも長く自分で運転したい」と切実な思いで通院される方がたくさんおられます。
鍼治療を行うことで、足の深層筋肉の過剰な緊張を緩め、低下していた足先の血流を劇的に改善させることができます。 血流が改善し、足の裏の感覚が鮮明になった**「ゴールデンタイム」**に、足先の正確性を高めるリハビリを組み合わせることで、ペダル操作の精度を維持・向上させることが可能です。
実際に、当院のケアを継続することで、安全に運転できる状態を何年も延ばせている事例が多数あります。
5. 免許返納のタイミングと、その後のサポート
私たちは患者さんの「運転したい」というお気持ちを尊重しますが、同時に命を守るプロでもあります。検査の結果、事故の危険性が高いと判断した場合は、返納のタイミングを誠実にお伝えします。
しかし、運転を諦めることが「人生の終わり」ではありません。 当院では、免許返納後の移動手段(介護タクシーや福祉制度の活用)のアドバイスや、車がなくても快適に過ごせる身体づくりを、ご家族と一緒にサポートし続けます。
まとめ:諦める前に、まずは客観的な評価を
「もう運転は無理かもしれない」と一人で悩む前に、まずは現在の体の状態、足先の血流、そしてSARAスコアを正しく測ってみませんか?
当院では、感覚論ではないデータに基づいた治療とアドバイスを提供しています。安全に運転を続けるためのプランを一緒に考えましょう。
脊髄小脳変性症の鍼灸外来
一般的な鍼灸院では行わない「体の状態を客観的に捉える方法」です。
足部の温度変化を確認する検査の一例
「診断はついた。けれど、今の自分の状態がどうなのかは、よくわからない」
「薬を続ける以外に、何を意識すればいいのか、誰も教えてくれなかった」
私たちは、こうした行き場のない不安を抱える患者さんと40年間向き合ってきました。
当院では、サーモグラフィで全身の体温分布を可視化します。
脊髄小脳変性症の方では、
ご本人が感じている歩きにくさやふらつきと一致する形で、
手足の温度分布に左右差が見られることがあります。
その一致を一緒に確認することで、
「なぜ今の動きにくさが出ているのか」を整理する手がかりになります。
この検査には専門機器と解析技術が必要なため、一般的な鍼灸院で行われることはまずありません。 感覚や印象だけに頼らず、今の体の状態を落ち着いて見つめたい方のための情報提供の場として、 ご相談をお受けしています。
参考文献
当院の「サーモグラフィを用いた安全評価」や「SARAスコアによる指標」は、以下の専門的医学書や最新の研究に基づいています。
- 『小脳と運動失調 小脳はなにをしているのか』 中山書店
- 『脊髄小脳変性症の臨床』 新興医学出版社
- 『脊髄小脳変性症のリハビリテーション』 全日本病院出版会
- 『神経内科2013 神経内科診療における鍼灸治療』 科学評論社
- 『図解 鍼灸療法技術ガイド I / II』 文光堂
- 『新しい鍼灸診療(第2版)』 医歯薬出版株式会社
- 『脊髄小脳変性症マニュアル 決定版!』 日本プランニングセンター
当院までのルートを詳しく見る
関東方面からお越しの場合
バスで
電車で
バスで
電車で
バスで
電車で
バスで
電車で
北陸・東海方面からお越しの場合
バスで
電車で
バスで
電車で
バスで
電車で
バスで
電車で
こちらもお読みください
サイト内検索
当院について
森上鍼灸整骨院
院長 吉池 弘明
森上鍼灸治療では、西洋医学の代替医療として鍼灸治療に取り組んでいます。 顔面神経麻痺や突発性難聴の患者様には、臨床経験20年以上の鍼灸師がチームを組んで治療にあたります。
カテゴリー
最新の投稿
-
2026年2月23日
脊髄小脳変性症の鍼灸治療|長野県で専門的な治療を受けるには
-
2026年2月22日
脊髄小脳変性症に鍼灸を試してみた|患者さんのリアルな声と治療経過
-
2026年2月21日
脊髄小脳変性症の家族が知っておくべきこと|介護・コミュニケーション・心構え
-
2026年2月20日
脊髄小脳変性症と仕事|働き続けるための工夫と職場への伝え方
-
2026年2月19日
脊髄小脳変性症の食事と栄養|症状進行を遅らせる食生活のポイント


